加藤一郎が聞く農協文化論キラーカーン

この記事の出典は、農業協同組合新聞【電子版】です。

プロレス界を一世風靡 悪役「キラーカーン」小澤正志氏に聞く

時代はヒール(悪役)を求めている ライバルこそ成長のエネルギー
聞き手:加藤一郎(千葉大学客員教授)

<小澤さんとの出逢いの風景>
小澤さん(キラーカーン)との出逢いは35年前の1984年に全農が米国企業と合弁で開始した肥料原料のリン鉱石採掘事業で米国フロリダ州タンパに私が赴任した時に始まった。当時のタンパには日本人はほとんどいなかった。ある時、自宅に「私は小澤ですが、日本人がタンパに移住して来たと聞き、ぜひお会いしたい」と電話があった。家内と一緒に待ち合わせ場所に行くと、そこには米国人を凌ぐ大男が立っていた。それがキラーカーンだったのだが、私たちはプロレスに疎くリングネームも知らず、正直に言って大男に恐怖感が募った。彼の家では奥様のシンディを紹介され、彼はプロレス雑誌を取り出してきて自分のことを話し始めた。
彼は元春日野部屋の力士で70年に廃業しプロレス界に入り、79年に米国に拠点を移した。私と出会った当時彼は37歳で、私の2歳上であった。そこからキラーカーンである小澤正志さんとの付き合いが始まるのだが、私は小澤さんの誠実な人間性に心を打たれた。その後、プロレス界を引退。日本に帰国し30年以上も新宿で飲食店を経営、現在は新大久保にある「居酒屋カンちゃん」の経営者であり「食」の語り手でもある。その彼に“ヒール”(悪玉)の果たす役割について改めて聞きたいと彼を訪ねた。(加藤一郎)